企業×学生連携ヒューマンライブラリ開催に関して~イントロダクション

文責・榎澤幸広(名古屋学院大学現代社会学部准教授)

「ヒューマンライブラリ」に関して
2023年10月24・26日、LGBTQIAやHSPなどの属性を持つアイエスエフネット社員に対し、榎澤ゼミ3・4年生(32名)がヒューマンライブラリ形式のオンライン・インタビューを行いました。

「ヒューマンライブラリ」とは、マイノリティや社会的弱者本人を“本”に見立てその人の人生を知る試みですが、実際のやり方は、彼ら(本)に対し参加者(読者)がいろいろ質問し、その後の対話を通じてその人の人生を知っていくというものです。この取り組みは北欧発祥のようですが、日本では<丸井グループ>がいちはやく実施しております(例えば、2018年9月15日 13時40分付PRTIMES配信記事「新宿マルイ本館にて9月17日(月・祝)に「ダイバーシティ&インクルージョンフェス2018」を開催!」<https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001951.000003860.html>)。

この形式は、「この社会には様々な人が存在していること」、「その人たちがこの社会でどのような生きづらさを感じているのか」などを参加者が知るきっかけになるだけではなく、当事者本人も語ることによって新たな気づきやつながりなどを得る可能性もあります。今回この形式を採用したのは正にこれらの理由によるものでした。

さらに付け加えるならば、この形式を実施することは、30以上もの属性を持つ社員を雇用するアイエスエフネット側がこれまでのダイバーシティ推進の取り組みの成果や今後の改善点を確認できることでもあります。また、現代社会の多様性を学んできた学生側は今までの学びの成果を確認でき、今後の社会活動に役立つことになります。

日の概要とそこに至る経緯
これらのメリットが予測できることから、ヒューマンライブラリ開催に至ったのですが、登壇した社員の属性は以下の図のようになりました。

3つの学生グループ(1グループ10~11名)は社員がいる部屋をそれぞれ訪れ、1回あたり15~20分程度のインタビューを行いました。両日ともこれを3回繰り返すことで、その日に登壇した社員と学生全員が相互にふれあえるようにもしました。

実際のヒューマンライブラリは、何の知識や経験のない人でもそこに参加し、対話を行っていくというものです。ただ、うちの学生は学部や僕の授業などを通じて「マイノリティの人権」に関する基礎知識や理解がそれなりにありました。特に、現4年生は、2022年7月9日、アイエスエフネットアドバイザーでもある市川武史さん主催の DiversityEXPO のシンポジウムにも登壇しました(タイトルは『学生の視点からとらえたD&I推進企業で働くメリット』)。さらに、東海地域のダイバーシティ推進企業や自治体にそれぞれがインタビューを行い、冊子も作成しました(この経緯は、取釜宏之・髙橋貴一編『地域連携・キャリア教育・探求学習がつながる!みんなの「仕事図鑑」』(学事出版・2023)、160-165頁掲載)。

また、連携を行う上で、初顔合わせ時(2023年6月9日)、学生は大学教室内にて、社員に会社概要のレクチャーを受けたことも付け加えておく必要があります(この様子は2023年8月21日付中日新聞朝刊で取り上げられました)。
このような経緯からも、アイエスエフネットや学生と相談の上、従来の方式とは少し異なる以下のようなやり方をすることにしました。

  1. 学生らは、夏休み期間、アイエスエフネットが採用した30の属性について調査
  2. 登壇者が決まった9月上旬から、学生たちはこれら登壇者の属性に関わるニュースや体験談などを調査
  3. 登壇者への質問を各自が作成し、グループ毎に練り上げ、一覧表作成
  4. 皆で最終校正を行い、開催日の1週間前に、アイエスエフネットを通じ登壇者へ送付

特に、3. 4.の工程は、偏見や差別にさらされてきた方も登壇者の中にはいらっしゃるかもしれないので、安心して当日登壇してもらえるようにしたいという思いも込めているプロセスでした。

催のきっかけ
ところで、開催のきっかけは、2023年2月、市川さんを通じて、私がアイエスエフネット側によるダイバーシティ推進に対する想いを伺ったことでした。具体的には、(1)この会社のダイバーシティ推進を持続可能なものにしたい、(2)さらに改善点を見出し、より良いものにしたい、(3)そのためにも学生の視点を伺いたいというものです。

私は、より良いまちづくりや国づくりの前提条件は、そこに存在する一人ひとりの個性が大切にされることだと考え、人権教育を行ってきました。なので、その考えに共感すると同時に、ゼミ生らにとってもその点に関する実践教育につながるとも考えました。このことをゼミ生全員に相談したところ、ぜひ行いたいという話になり、現在につながっております。

後の予定
ヒューマンライブラリに関する記事は、インタビューを終えた学生たちの声を中心に、毎月2回(3月まで合計6回)、このホームページ上に掲載していきたいと思います。
第一弾は「シニア社員」との対話です。3日後の1月15日掲載予定ですので、引き続き閲覧して頂けたらと思います!よろしくお願い致します。

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※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。