「想定外」を「想定内」にしていくこと

7月に専修大学で経済学部の皆さんに向けて授業の一環として講義を行いました。専修大学での講義は、今年で8回目です。

なぜ、このようにお話する機会をいただくことになったかというと、アイエスエフネットグループの雇用への取り組みが一般的な企業とは少し違うということに着目いただいたからだと思います。

性の産前と産後の平均年収の違い

「内閣府 平成28年版少子化社会対策白書」によると初産の平均年齢は30.6歳で、大学を卒業された入社8年目ぐらいの方になります。年収でいうと平均360万円ほどです。

もし、入社8年目で子どもができるなど、何らかの理由で一度職を離れ、5年後ぐらいにまた復帰したいと考えたときに年収はどうなると思いますか?

ほとんどの方が、さまざまな状況や理由によって、以前のようにフルタイムで働けず、パートタイムや制限がある働き方を強いられる状況となり、結果年収が、平均約180万円まで落ちてしまうと言われています。

らないことを知ること、自分自身のこととして考えること

「結婚、出産したら」はとても想像しやすいですよね。それは、多くの方にとって「想定内」のことだからです。そして、「想定内」の状況に備え、個人として準備することや会社が活躍していただく環境の配慮や準備をすることは、最近では当たり前のことになっていると思います。

しかし、当グループでは「30大雇用」を掲げ、ワーキングマザーだけではなく、シングルマザー、LGBT、障がいのある方、自閉症、犯罪歴のある方(軽犯罪)など、就労が困難な方々を積極的に採用してきました。

なぜなら、これらは決して他人事ではなく、いずれ自分や家族が病気になって動けなくなり、配慮をしてもらう立場になる可能性もあるからです。

この方たちが働けない大きな理由は、社会の「差別・偏見」です。この「差別・偏見」は、どこから生まれるかというと、その物事について”知らない”、”理解がない”ということがほとんどです。多くの方が、ご自身の「想定外」として除外してしまっているということです。

この「想定外」のことを「想定内」にしていくことがとても大切です。それは、知らないことを知るという姿勢です。一歩を踏み出すのは難しいかもしれませんが、まずは就労が難しい方々が所属する団体などに見学に行ったり、情報を集め”知る”ということから始めてみてください。

定外を想定内にした、当グループの制度

1.柔軟な勤務時間と勤務場所
子育てや介護、身体に障がいがあって通勤が難しい方など、さまざまな理由により、会社で8時間(フルタイムで)働けない方は多くいます。そのような方のために、在宅勤務や柔軟な勤務体系の制度を整えていくことで雇用の幅を広げています

2. 勤怠に左右されない業務体制
精神疾患を患い、今日は出勤できても、明日は出勤できないという方もいらっしゃいます。そうなると会社は雇用を継続できないというケースもありますが、当グループでは、仕事を各部門で切り出し、プライオリティをつけて、いつでも対応できるものからスタートし、社会復帰も兼ねて支援をしていくことを行っています

3. コミュニケーション能力への配慮
コミュニケーション能力が低い、他者とのコミュニケーションが苦手といった方を採用しない会社は多くあります。しかし、コミュニケーションに問題があっても、高いスキルやノウハウ、働きたいという強い想いを持っている方は非常に多くいます。まずは相手を理解し、偏見を取り除き、活躍できる場所を探す採用を目指しています。

4. スキル
会社が求めるスキルがない、習得してくれないという理由で採用してもらえないことも多々あります。社会はどうしても、平均値を求めてしまいがちです。しかし、できないことを無理にできるようにさせるのでなく、持っている能力を見極め、その人にあったサポートをするだけで、潜在的な能力を引き出し、できる仕事の幅も広がっていきます。私たちは、スタートポイントを評価して採用するのではなく、個人の成長幅を考慮した採用を行い、手厚い教育制度を設けています。

社を選ぶ2つのポイント

就職活動を行う上で、給与やキャリアパスを重視してしまうことが多いかと思いますが、会社を選ぶ時にチェックしていただきたい2つのポイントがあります。

1. 長く働くための制度や多様な働き方ができる環境が整っているか?

例えば、女性であれば、産休・育休制度や復帰の支援体制がしっかりしているのか、柔軟な働き方ができるのかといった点です。また、自分が病気になってしまったときにサポートしてくれる制度があるかということです。可能であれば、先輩社員の声を直接聞き、入社を希望する会社の制度に関して知っておくことが大切です。

2. 長年働いている方がその会社にいるか?

もう一つは、希望する会社に50歳以上になっても働き続けている方がどのくらいいるのかという点です。もしそのような方がいなければ、長年働くことが困難な環境だったり、リストラを行っている可能性もあります。

生の皆さまへ

皆さんはご自身で得意なことはありますか?できないことをうまくできようにするのではなく、ご自身の得意なことを伸ばしていくように努力してみてください。自分の得意なことで他の人が喜んでくれれば、働きがい、生きがいにつながっていくと思います

これからの人生の中で、自分の得意なことは何かを見つけていってほしいと思います。

義を受けた学生さんからコメント

多くの学生さんに講義を受けていただき、221名の方からコメントをいただきました。抜粋ですが、ご紹介いたします。

  • 想定外のものを自分の想定内にする、知ることで差別・偏見がなくせると分かった。健常者以外の人たちに優しい企業がこれから成功していくのだと感じた。
  • さまざまな人が、自分の特徴をオープンにでき、それぞれを認めあうことができる社会になって欲しいと感じました。
  • 日本の悪いところであるクローズな社会環境を壊して、自由で分かり合える企業、社会づくりに尽力され感銘を受けた。
  • 視点を変えるだけで、すごく世界が変わるすばらしさを改めて知ることができた。